2010年6月13日日曜日

あなたが神か。2

どうもこんにちわ。(´・ω・`)

風邪と格闘二日目に突入のNAWOです。

随分楽になった気はするんですが、治りかけが一番人に移しやすいと聞いてますので、今会社に行きますと、もれなく

「帰って。今すぐ帰って。」(・∀・)

コールの連呼になってしますので、今日も自宅で引きこもりです。

まあコジンマリした会社なもので。人も最小限しかいませんのでね。他の人が風邪ひいたり体調不良はいきなりピンチになるもので。

なんで今日もトップの写真はマスクな二人だったりします。
てかマスクでキスてどうよ。(;・∀・)



先日よりお話してました、私のDTP会社時代の師匠の話でしたね。

えと、小学校の集合の不登校の女の子の合成の話までしたんでしたっけか。
で、もうひとつの話でしたね。もうひとつも人の合成の話なんですけどもね。

その一件は少し特殊でして、通常の進行で進んでいたアルバムのデータがほぼ出来上がった終盤で、部長宛で電話がかかってきまして。
その電話は、アルバムを作ってる中学校の担当の先生からでした。

私たちは通常、仕事は写真館の方とか、カメラマンの方とか、その学校や幼稚園や大学に入っている業者さんの下請けっていう立場なので、直接連絡を受けるってことはまず無いんですが。

どうもその先生がお願いしたいことがあって、写真館さんに相談したところ、絶対無理と言われたんだけどもどうしてもあきらめられずに、連絡先を聞き出して電話をしてきたとのこと。

内容はというと、ある一人の生徒の写真を、集合写真に綺麗にして入れ込んでほしい。との事でした。

まあ集合写真に入れ込むなんてのは日常茶飯事なので、軽くOKしたいところなんですが、「綺麗に」というのが引っかかりまして、どういう事情なのかを聞いたのですが。

その生徒さんは中学校3年になってから、実は病気で一度も学校には出てこれてないこと。
もちろん学校での写真はおろか、行事の写真も、授業の写真も無い。
ある写真は、病院での写真だけ。

まあとりあえずその唯一の写真を見てみないことには、出来るかどうかもわからないので、紙焼きの写真を至急で郵送してくれという話になりました。

数日後、東京の中学校のその先生から写真が届きましたが、写真を見て愕然。(;゚Д゚)

そこには体中にチューブやら配線やらつながれて、既に骨と皮同然にやせ細り、肌の色は変色して黒っぽい黄色になり、髪の毛もすべて抜け落ちてしまったにもかかわらず、やさしく微笑む男の子の写真がありました。

もう、目を覆いたくなるような、痛々しい写真でした。

ベッドに寝たきりなので、当然制服も着ていませんし、なにより顔はかろうじてこちらを見ているものの、体つきや身長その他もまったくわかりません。

顔には無数のチューブがあり、輪郭も、目や鼻、口も隠れてしまって、よくわからない状態。

部長はそれを見て、無理だと連絡しようとしたのですが、そこで師匠が

「僕がお客さんに電話して色々聞いてみるから、少し待ってくれないか」と言い出しました。

師匠はこんな状態でも集合に入れ込みたいというからには、何か絶対事情があると踏んだのです。

ですがアルバムのデータを印刷工場に回す期日はあと3日。それが遅くなると、卒業式にアルバム納品が間に合わなくなって、どえらい損益になってしまいます。(;゚Д゚)

いまから親族の方に写真を手配してもらっても無理だろうし、どうするのだろうと皆で心配していたんですが。。

それから二日後。

私はほかのアルバムデータの作成と入稿に追われていまして、そのことは師匠にまかせっきりだったのですが、気になったので師匠に聞いてみますと、

「ああ、もう今日の朝イチで入稿したよん」

と聞きまして、びっくりしました。
結局写真は手配間に合わないので、こっちで集合写真に入れ込んで合成し、先生にメールで送って確認してもらってOKもらったとか。

なんという早業・・・というか、あのすさまじい写真が、どうやって集合に入っているのか想像も出来なかったので、写真見せてくれと頼んだんですが、データは既に印刷工場に行ってしまってるとの事で、その場では見れませんでした。

で、それから一週間ほどのち、DTPの版下作成もひととおり落ち着いたんで、毎年恒例の印刷部署の手伝いに、工場に出向いて検品の手伝いをしていた時に、偶然その東京の中学校のアルバムを発見!!

検品そっちのけで、どうしても気になったので、人目を盗んで積んである出荷待ちの中からそろーっと一冊抜き出して、写真を探してみました。

たしか3-2組だったはず、、集合写真は見開きで2Pで超大きく使ってるはずだし、変な合成は絶対無理やしなあ・・・と思いながら見たその写真には、

集合写真の最後列で、にこやかに、健康そうに笑いながら、両隣の友達と肩を組み写真に写ってるその子の姿が!Σ(゚Д゚)

しかもその肩を組んでる両隣の子たちもめっちゃ笑顔になってる!Σ(゚Д゚)
というか、全員の表情が変わってる!笑ってる!Σ(゚Д゚)

違和感が無いどころか、あまりに綺麗だったので、もともとの写真を差し替えたのか?と思ってしまうほどでした。


後で聞いたとこによると、師匠が先生に電話して聞いたところ、その子は急性白血病で三年生になって同時くらいに入院し、楽しみにしていた学校行事にも出れなくて、卒業間際になって亡くなったそうです。

ですが、クラスメートたちはその子のことは仲間として、なんとか一緒に卒業アルバムに収めてほしいとお願いされたのだと。

でも、親御さんも痛々しい我が子の写真しかもっておらず、一年生や二年生の時の写真はあるにはあるのですが、あまりにも姿かたちが若すぎる。(中学校の男の子は急激にかわりますからね。)

あるのは病院で入院中の、この痛々しい写真しか無いのだが、その子の願いはみんなと一緒に元気に卒業式を迎える事だったため、写真だけでも何とかならないだろうか。

ということでした。

師匠はその話を聞いて、二の返事でOKを出したそうです。

ただ、そこからが師匠のすごいとこでした。

私が見ていたそのクラスの集合写真は、確かにほかのクラスとは少し違って、皆表情が暗くて、誰一人笑ってる子が居なかったのですが。

その子の顔形の復元だけでもエライ事なんですが、クラス全員の顔を集合向けの微笑みバージョンと、中学生らしく元気な笑顔バージョンの二種作り、微笑みバージョンは卒業アルバムに、笑顔バージョンは社長に掛け合ってOKをもらい、クラス全員とその先生にキャビネサイズでプレゼントしたそうです。

卒業アルバムというのは、そのクラスの子だけでなく、卒業生全員に渡すものなので、アルバム用に少し真面目な写真と、その子のクラスメート達だけの思い出用の写真を別に・・・という師匠の配慮でした。


卒業シーズンも終わり、DTP室にもすこしの平和がおとずれた頃に、DTP室にそのときの合成した男の子のご両親と担任の先生の来客がありました。

この子の願いをかなえてくれてありがとう、友達を笑顔にしてくれてありがとう、もうこの子は居ないが、全員にとって、本当に大切な大切なアルバムになりました。

と、泣きながらお礼を言っていらっしゃいました。

師匠はもともとそういうのが苦手な方でして、「いやぁ・・ははは」といいながら頭ポリポリ掻いてるだけでしたけどね。(;´∀`)


で、結局その男の子の写真はどうして作ったのか?と聞いたところ、入院中の写真はどう切っても張ってもつかえないんで、その写真で輪郭だけをとり、顔のパーツは一年や二年のときの偶然アルバム内で写っていた横顔やらから持ってきて超合成。体格や身長は勘。生徒たちの笑顔も勘。作業時間は1バージョンにつき1時間、合計2時間とのこと。

やはり、あなたが神か。

師匠にしては、数時間もかけるなんてただ事じゃないですが、
でも、その作業、普通数日かかるんじゃないですかねえ。。。(;´∀`)

でも師匠は、作業時間より、担任の先生が校長やそのご両親やらに写真を持って回ってもらって、「私が全責任を負いますからお願いします」と言ってくれたからできたんやでーと言ってました。




写真というのは、芸術作品として以外ではやはり記録でして、絵とかCGじゃありません。

記録としての意味合いから言えば合成や修正というのは、なんらかの手が加わってしまうので情報としての意味が薄くなる。という事に関して、私はあまり肯定的ではありませんでした。

でも、こういう師匠の仕事をみて、合成だろうが修正だろうが、良い仕事は人を動かすんだなあ・・・と、考え方も変わりました。

何をするか、ではなくて、何のためにするかってことですかね。

前にも色補正でお話しましたけども、記憶に近づけるという意味においても、そういう修正や合成もものすごく意味のある技術なのかもしれません。

実際のシーンより、本当の意味で「人の希望」に近づけるって意味で。



今は違う会社ですので、もう師匠とは一緒には仕事はしていませんが、今でもどっかの学校の写真屋さんの、ものすごい希望の合成をチャッチャとやっつけてるんかなあ。と思ったりします。

分野は全然違いますが、同じ物づくりの人として、師匠みたいな目線で仕事できたらいいなあと。


ま、今日はすこーしだけ良いお話でした。(´∀`*)

写真にまつわる仕事に限ったことじゃないと思いますけど、こんなハプニングもあるんで嬉しかったり悲しかったりするんですが、ダイレクトにお客様の感謝とか幸せを感じれた時は、本当に仕事しててよかったなーて思える瞬間でもありますねえ。

ですんで手を抜けないんで、それだけ大変だったりもするんですけどね。
私も風邪で寝込んでる場合じゃないので、早く治さねば。。(;´Д`)

というわけで、これからまた布団に入って寝込みます。(´・ω・`)

明日こそは元気になるぞおー

ではではー

4 件のコメント:

  1. こんばんわ。masahiroです。

    今回のお話はすごく心打つお話でした。目頭を熱くして読ませていただきました。


    私の風邪は、回復に向かっております。お互い早く風邪なんか治しちゃいましょう。



    実は実家のじいちゃん、ばあちゃんに風邪をうつしちゃいましたが^^;

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  2. >masahiroさん
    こんな駄文ですが読んでいただいて嬉しいです。

    たまにはいい話もないと。。て感じですかね(´∀`)

    私はまだ誰にも風邪うつしてませんが、明日の会社はちょい戦々恐々です。

    だいぶと良くはなったんですけどね

    写真は写らないと困りますけどね。風邪は移さないようにきをつけます!(・∀・)

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  3. お師匠さんのその技術だけでなく、お心意気が素晴らしいですね。
    合成や修正も受け手の方たちが喜ばれるのであれば・・・
    ですね。

    風邪、お大事にしてください。

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  4. >はねなしさん
    いつもありがとうございます
    今となっては師匠とはバラバラに仕事してる身分ですけども、
    私にとっては数すくない「何でもいう事聞いてしまう人」でしたから。その人に出会った事自体私の財産ですね。

    でも、普通に街中歩いてたらほんとに普通のオッチャンなんですけどね。

    もう風邪も治りました!(多分)
    元気に仕事頑張ってる(つもり)ですー

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